「自転車で罰則‥VOL.1 VOL.2 VOL.3 」とシリーズでお届けさせていただきましたが、
今回はそれに関連した「誰に一番やさしい道、そして町にしたいの?」というお話をひとつ。
「自転車で罰則」シリーズでお伝えさせていただいたとおり、「自転車は車道左側が原則。歩道は例外」です。
また詳しく罰則規定を読み込んでくださった方ほど、「結局自転車は、どういう場面で、どの場所を、どう走ればいいの?」と混乱されているかも知れません。
自転車関係の法律は、「とても例外規定が多く、その例外についても罰則規定がある」ので、とてもややこしくなっています。
何故なんでしょうか?
詳しくは割愛させていただきますが、実は意外にも「昔は自転車は車道左側を普通に走って」いました。
ところが、1970年代にクルマがどんどん増え交通事故が多発します。そこで緊急的に「自転車を歩道に上げる」方針を警察がとってから「自転車が歩道を走る」ようになってしまいました。
初めは”一時的に”認める予定だったのですが、その後最近になるまでズルズルとその方針が続いてしまっていました。
その後「自転車は歩道走行」がすっかり定着します。そのことで「自転車と歩行者との事故」が目立つようになります。
たくさんの例外規定や罰則も、その中で作られていったのです。
(詳細をお知りになりたい方は、リンク先のPDFファイル 『自転車走行空間の歴史』 をご参照下さいませ)
「もっとシンプルに分かりやすく、もちろん交通安全にもなる」考え方や方法はないでしょうか?
あります。そしてとても簡単です。
それはとてもシンプルな3つの考え方です。
(1)歩行者は歩道を歩きます。
だから自転車は歩道を走れません。
(2)自転車は車道左側を走ります。
だからクルマは、それを妨げる運転をしてはいけません。
(3)クルマの優先順位は最後です。
だから最大限、歩行者や自転車に配慮した運転をしなければなりません。
(注:この画像のとおりだと自転車との車間距離は、結構狭いですね。『1.5m空ける』という数値よりも『自転車にとって安心・安全な車間距離を』と心掛けたいですね♪)
基本的には、この考え方や実践が大事だと思います。
もちろん「これで全て問題解決」とまでにはならないと思います。
自転車用のレーンや専用道の整備も必要でしょう(日本はここが大幅に遅れています)。
まだ自転車やクルマに乗れない子どもや、自転車に乗る全ての人(大人も子供も)への、交通安全教育や注意も必要でしょう。
だけどそれ以上に、クルマに乗る大人の安全運転や、歩行者や自転車への心遣いが求められていると思います。
歩道を歩いていて、歩道を走る自転車の乱暴な運転にヒヤッとすることはありませんか?
自転車で車道左側を走っていて、クルマの乱暴な運転にヒヤッとすることはありませんか?
歩道のない住宅街を子どもに歩かせるとき、なかなか安心して歩かせられないのではないですか?
横断歩道を歩いて渡ろうとして待っていても、クルマがなかなか停まってくれないことはありませんか?
クルマを運転していて、横断歩道を歩行者が渡ろうとしているとき、横断歩道手前で停まって待っていますか?
(法律では、この場合クルマは一時停車しなければなりません)
まずは大人が、まずはクルマの運転手や自転車に乗る人が、自分に
「誰にやさしく?」
と問い直し、実践していくことが大切ではないでしょうか?
実際他県では、「歩行者や自転車のキケンについて、歩行者や自転車側だけに注意喚起するだけにはとどめない」実践や提案が始まっています。
他県にできることが、「奈良県で、奈良市の神功のまちで、やってやれないことは無い」はずです。
急な横断防ぐ対策を 冬の自転車事故注意 今治で11月死亡事故多発
(愛媛新聞)2017年12月6日
自転車側に注意喚起するだけじゃなく、クルマ側にも取り締まり強化をされています。
おまけに、横断歩道のあり方の変更提案までされています。
横断歩道以外、高齢者の交通死急増…3倍の県も
(読売新聞)2017年12月28日
この手の記事は「歩行者側に注意喚起」に終始するのが普通です、残念ながら。でもこの記事は逆。
「横断歩道がなくても歩行者を優先するのは大前提。車側は常に注意しながら運転」と指摘されています。
さあ。大人のあなたは、クルマのあなたは、
「誰にやさしく?」
執筆者:事務局(F)