前回の「防災コラムVOL.5」でふれたように、災害時に自宅外への避難が必要になった時、災害弱者ともいわれる災害時要配慮者の対応には地域との協力が必要不可欠です。
例えば、次のような工夫が必要だったり、支援する人員の数も必要です。
・高齢者の場合 → 援助が必要な時は複数人で対応し、急を要する時は、背負ったり、担架で運ぶ(人を背負って避難するのは実は相当大変です)
・足が不自由なひと → 車椅子を使用し階段等の段差があるところでは3~4人で援助する
・目が不自由なひと → 杖を持った手はとらず、肘を持ってもらいゆっくり歩く
・耳が不自由なひと → 手のひらに指先で字を書き伝えたり、顔をまっすぐ見て口を大きく動かしゆっくり話す
このように通常の避難行動よりも注意が必要です。
国は災害対策基本法で避難行動要支援者名簿を作るよう取り決めています。奈良市もそれに則り「奈良市避難行動要支援者避難支援プラン」を策定し、避難行動要支援者名簿を作成しています。
そしてその名簿は神功地区自治連合会の神功地区自主防犯防災協議会に託され、各自治会に受け取るか否かの判断をゆだねられ、神功三丁目自治会はその名簿に記載されている方々の「支援を願う」という想いを大切に考えて名簿を受け取っています。(他の地域では名簿の受け取りを拒否している自治会もあります)
災害の規模が大きければ大きいほど、国・県・市区町村・警察・消防などの行政機関からの防災活動(これを『公助』といいます)が届くのはかなり遅れることが想定されています。なので、災害が起こった直後は地域の力を期待されているわけですが、地域の人もそのような状態の時は同じく被災者となります。ですから名簿があるからといって安心できるわけではありません。
その名簿のみならず、この神功三丁目の特性にあった個別支援は何ができるか、支援が必要とされている人に対して地域の協力体制があるかどうか、公的機関の支援が期待できない期間をどうやって乗り切り助け合えるかを自主防災会では今年も一歩進んで考え取り組んでいこうとしています。
忘れてはならないことは、支援される側も、支援する側も、そのような有事の際は同じように被災者であること、そしてお互いに義務や権利が発生することは全くないということです。
自助ができた人が多いコミュニティは救助できる人が多くなり、それが共助につながって減災に強い地域となり、公助という行政による救助が合わさり被害を最小にとどめることができるのです。